病院へ行ったら必ず提示を求められる「保険証」
当たり前のように持っていて、みんな使うものですが
「保険証ってそもそもなに?」「どうやって成り立っているものなの?」
と考えると。以外と説明が難しい…
この記事では日本の医療保険制度についてわかりやすく解説していきます!
国民皆保険制度が成立するまで
「国民皆保険制度(こくみんかいほけんせいど)」とは、日本に住むすべての人が、公的な医療保険に加入し、必要な医療サービスを受けられる制度のことです。
日本では誰もが医療を平等に受けられる社会が実現されています。これは、世界的に見ても非常にユニークで優れた制度です。
日本の公的医療保険制度は
- 職域保険(職場の健康保険組合に加入している労働者と家族が対象)
- 地域保険(国民健康保険:自営業やフリーランスなど会社という組織に所属していない人が対象)という異なる2つの構造から成り立っています。
この2つの保険が、ほぼ全ての日本国民と日本国内の長期滞在者(合わせて1億2700万人以上)をカバーする世界最大級の医療保険制度の礎となっているわけです。
今のような国民皆保険制度ができるまでの歴史をまとめてみました!
| 年 | 出来事 |
| 1922年 | 健康保険法制定(施行は1927年) → 主に工場労働者など被用者を対象とした保険制度。 |
| 1938年 | 国民健康保険法制定 → 自営業者や農民など、健康保険に加入していない人々を対象とした制度が整備され始める。 |
| 1945年 | 終戦後、GHQの指導のもとで社会保障制度全体の見直しが進む。 |
| 1958年 | 新しい国民健康保険法が施行され、市町村が運営主体となる。 |
| 1961年 | 国民皆保険達成 → すべての国民が何らかの公的医療保険に加入する体制が整う。 |
| 1973年 | 高齢者の医療費無料化(70歳以上)実施 → 後に財政悪化のため見直される。 |
| 1983年 | 高齢者医療費の一部自己負担導入(老人保健制度発足) |
| 1997年 | 医療費の自己負担割合が見直され、原則2割から3割へ段階的に引き上げられる流れが始まる。 |
| 2006年 | 医療制度改革関連法成立 → 被用者保険の再編(健康保険組合の統合など) |
| 2008年 | 後期高齢者医療制度導入(75歳以上を対象) |
| 2015年 | 国民健康保険の財政運営を市町村から都道府県へ移管する方針決定 |
| 2018年 | 国民健康保険の都道府県単位化が本格施行 |
当初の国民健康保険は第二次世界大戦の時代に困難を極めていました。
さらに各自治体により任意で設立・運営されていたために、全ての国民に普及するには程遠く、実際に、1956年の時点では日本の人口の約3分の1が医療保険に未加入の状態だったのです。

例えば、昭和に「国民病」と言われていた結核の治療費を考えてみましょう!
昭和25年(1950年)に結核の治療を受けた場合のおおよその費用の目安は…
- 入院費(1か月):約1500~3000円
- 治療期間:半年~1年以上
- 総額:1万円~3万円程度
これを現代の価値に換算すると…
| 当時の金額 | 現代の価値(2025年) |
|---|---|
| 1,500円(1か月分) | 約11,850円 |
| 3,000円(1か月分) | 約23,700円 |
| 30,000円(長期療養) | 約237,000円 |
当時の経済状況は…
| 項目 | 昭和25年 | 参考 |
|---|---|---|
| 大卒初任給 | 約5,400円 | 1か月入院で給料の約半分 |
| 米10kg | 約250円 | 1,500円で60kg買える |
| 映画館入場料 | 約45円 | 入院費は映画33本分 |
昭和25年当時の生活感を考えると…
働きに出ているのは父親
その収入で家族全員を養うのが一般的だったでしょうから、家族に1人結核療養者がいると、給料の半分は治療費にかかってしまうことになります。
これは、庶民にとっては非常に重い負担ですね…

それから、国民健康保険法が改正され、全ての市町村における地域保険制度の設立が義務化されました。
そして1961年に国民皆保険が達成されます!
国民皆保険制度が実現する前の日本は、医療を受けられずに亡くなる人も大勢いましたが。
国民皆保険の成立により、今のように新生児から高齢者まで安心して医療を受けられることができるようになったのですね!
それから日本は経済成長を成し遂げ、現在では、世界有数の経済大国、そして長寿国となったのです。
病院での支払いが3割程度…ということは日本人にとっては当たり前になっていますが、アメリカなどの諸外国では国民皆保険制度が導入されていない国も多いです。
たとえば虫垂炎の治療費で比較してみると、日本では保険適用で30万円程度の費用で治療が受けられるのに対し、アメリカのニューヨーク州では152万円以上の治療費がかかるといわれています。[注1]
メリットは?
1. 医療費の自己負担が軽い
医療機関を受診するとき、自己負担は基本的に3割(年齢や所得により1〜3割)です。高額療養費制度もあり、万一の入院や手術でも家計が大きく崩れることは少ないように工夫されています。
2. フリーアクセス
どの病院でも自分で選んで受診できる「フリーアクセス」といいます。
この制度も日本では当たり前すぎて、意識したこともない人がほとんどだと思います。
例えば、イギリスなどではかかりつけ医の登録制を採用しており、どんな場合でも最初は登録された指定医療機関を受診しないといけません。
私たちは、病院を選ぶ時に口コミだとか評判だとかを調べて希望する病院へ行くことができますが、これも医療皆保険制度のメリットです。
3. 高品質な医療が受けられる
国が定めた診療報酬制度により、医療の質が一定に保たれており、全国どこでも安定した医療サービスが受けられます。
課題もある?
どんなに優れた制度にも課題はあります。日本の国民皆保険制度も例外ではありません。
- 高齢化による医療費の増大
高齢者が増えるにつれて、医療費の国全体への負担が大きくなっています。 - 医療従事者の負担増
安価で質の高い医療を提供するために、医師や看護師の働きすぎも問題になっています。 - 保険財政の厳しさ
保険料の収入と、支出のバランスが年々厳しくなってきています。
これらの課題に対応するため、政府は診療報酬の見直しや医療DXの推進など、さまざまな改革を進めています。
最後に
日本の国民皆保険制度は、「誰もが安心して医療を受けられる社会」を支える大切な柱です。
私たち一人ひとりが制度を理解し、健康に気をつけながら、この仕組みを守っていく意識を持つことが重要ですね。
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参考文献


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