毎年秋になると話題になる「インフルエンザ予防接種」。
今年注目されているのが、注射を使わずに鼻からスプレーするタイプの新しいインフルエンザワクチン「フルミスト(FluMist)」 です。
「痛くない」「子どもでも受けやすい」として話題になっていますが、実際の効果や注意点はどうなのでしょうか?
この記事では、フルミストの仕組み・メリット・デメリットをわかりやすく紹介します。
フルミストとは?
フルミストは、経鼻弱毒生インフルエンザワクチン(LAIV) と呼ばれる新しいタイプのワクチンです。
名前のとおり、鼻にスプレーして吸い込むだけで接種が完了します。
ウイルスを「不活化(死滅)」させている従来の注射型とは違い、
フルミストでは「弱毒化された生きたウイルス」を使います。
これは「生ワクチン」と呼ばれる種類のワクチンになります。
この「生ワクチン」を鼻からスプレーすることで、鼻やのどの粘膜に“自然に近い免疫反応”を起こし、ウイルスが侵入しやすい場所での防御力を高めます。
フルミストの仕組み
インフルエンザウイルスは、主に鼻やのどの粘膜から感染します。
フルミストはその侵入口である粘膜に直接作用して、局所免疫(IgA抗体など) を作り出します。
この「局所免疫」は、体内全体の免疫反応(IgG抗体)と異なり、
感染そのものを防ぎやすいという特徴があります。
つまり、従来の注射のインフルエンザワクチンでは、ウイルスに感染して「発症する」ことを防ぐことが重要視されていましたが、フルミストは感染自体しにくくなるため、無症状で他の人への感染を広げることが少ないとされています。
つまり、「かかりにくくする」だけでなく「うつしにくくする」効果も期待されているのです。
フルミストのメリット・デメリット比較表
| 項目 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 接種方法 | 注射ではなく鼻スプレーなので痛くない。小児でも受けやすい。 | 鼻づまり・アレルギー性鼻炎があると効果が下がる可能性。 |
| 免疫の種類 | 粘膜免疫と全身免疫の両方を誘導でき、感染防御力が高まる。 | 生ワクチンのため、免疫が弱い人・持病がある人には不向き。 |
| 接種回数 | 原則1回で完了(注射ワクチンのような2回接種が不要な場合が多い)。 | シーズンごとの流行株により、効果の差が出る可能性。 |
| 対象年齢 | 日本では主に「2歳~19歳未満」が対象。 | 成人・高齢者は対象外(現時点では接種できない)。 |
| 副反応 | 注射部位の痛み・腫れがない。副反応は軽度な鼻水やくしゃみ程度。 | ごくまれに発熱・倦怠感などが出ることがある。 |
| 費用面 | 自費(自由診療)だが、医療機関によっては注射型とほぼ同額。 | 保険適用外のため、全額自己負担。 |
子どもにもやさしいワクチン
フルミストは、注射を嫌がる子どもでも受けやすく、
「泣かずに済むワクチン」としてクリニックでも人気が高まっています。
また、注射の痛みがないため、ワクチン嫌いを克服するきっかけにもなります。
海外ではすでに長年使用されており、安全性も確認されています。
ちなみに私の娘は2歳なのですが、先日フルミストを受けてきました!
昨年は従来の注射のワクチンを受けたのですが、インフルエンザを発症してしまったので、色々調べた結果今年はフルミストを選びました。
「泣かずに済むワクチン」なはずですが… 娘は泣きました(笑)
しかし、その後はケロリとしたもので、翌日には発熱も鼻汁もなく元気に保育園に行きました!
注意点と接種できない人
ただし、次のような方は医師と相談が必要です。
- 2歳未満、または19歳以上の方
- 喘息など呼吸器疾患のある方
- 免疫が低下している方(治療中の病気など)
- 妊娠中の方
- 重い卵アレルギーを持つ方
生ワクチンという特性上、体内でウイルスが一時的に増えるため、
体力が落ちている人には慎重な判断が求められます。
ところで…
もはや、寒くなるとインフルエンザは当たり前…となっていますが、その歴史は古いのです
さかのぼれば、なんと紀元前400年!!
古代ギリシャの医師ヒポクラテスが「突然はじまる発熱と咳の流行」を記録しており、これがインフルエンザの最古の記録といわれています。
その後もたびたびパンデミックを繰り返し、かの有名な「スペイン風邪」は第一次世界大戦を終わらせるきっかけになったと言われています。

しかし、記憶にも新しい新型コロナウイルスのパンデミック時にはインフルエンザはほとんど感染者が出なかったのです。
2021年冬、日本の学校で報告されたインフル集団感染件数は 前年比の約1/200以下でした。

これにはいくつかの理由があります。
① マスク・手洗い・消毒の徹底
- コロナ対策として行われた マスクの常時着用・手指消毒・うがい は、
同じく「飛沫感染」や「接触感染」で広がるインフルエンザにとっても強力なブロックになりました。 - そのため、例年なら冬に急増する感染連鎖が、物理的に遮断されていたのです。
② 学校・職場での集団感染が減った
- 登校停止、リモートワーク、イベント中止などによって、
人と人が密集する場が激減 しました。 - 特にインフルは 学校や職場でのクラスターが流行の引き金 になることが多いため、
接触の減少が大きく効きました。
③ 海外からのウイルス流入が止まった
- コロナ禍では 国際移動が極端に制限 されたため、
毎年海外から「新しいインフル株」が入ってくる流れがほぼ途絶えました。 - 実際、空港検疫で検出されたインフルウイルスは、
2020年には前年の 約1万分の1以下 まで減少しています。
インフルは毎年、南半球や東南アジアから“輸入”される面が強いウイルスです。
④ 医療・検査体制の「逆ブレーキ」
- コロナ初期は「発熱=まずコロナ疑い」でPCR検査を優先していたため、
インフル検査自体が控えられていた という背景もあります。 - 医療機関が混乱を避けるために、発熱外来を限定していた影響も。
つまり、「感染しなかった」+「検査されなかった」両方の要素があります。
⑤ 免疫の“壁”が高く保たれていた
- インフルエンザワクチンの接種率は、コロナ初期に一時的に 過去最高レベル(約65%) に上昇。
→ 「コロナにも効くかも?」という心理的要因もありました。 - その結果、集団免疫の底上げも一時的に起きていました。
まとめ:フルミストは「痛くない×自然に近い」新世代ワクチン
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| タイプ | 経鼻弱毒生インフルエンザワクチン(鼻スプレー型) |
| 対象年齢 | 2歳~19歳未満(日本国内基準) |
| メリット | 痛くない・自然な免疫がつく・1回接種で済む |
| デメリット | 生ワクチンゆえの制限あり・費用は自費 |
| おすすめ層 | 注射が苦手な子ども、注射恐怖症の方 |
フルミストは、「注射が苦手でもきちんとインフル予防したい」 という人にとって、
新しい選択肢となる可能性があります。
今後、日本国内でも普及が進めば、インフルエンザ予防のスタンダードが大きく変わるかもしれません。
参考文献


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