― 日本の診療報酬制度を踏まえて、なぜ病院は苦しくなったのか ―
今年2026年は2年に1回行われる診療報酬改定の年です。
前回の診療報酬改定は2024年でした。
2024年度の診療報酬改定では、
▶ 診療報酬本体は +0.88% のプラスだったものの、
▶ 医薬品価格(薬価)は引き下げられたため、
診療報酬全体では ▲0.12%のマイナス改定 になりました。

結論から言うと、
モノ(薬)については安くなった一方、医療行為の収入がわずかに増えただけ。
これがまず 病院の収益を圧迫する大きな要因となりました。
その理由を、日本の診療報酬制度の仕組みから順に解説します。
そもそも日本の診療報酬制度とは?
日本の医療費は、病院が自由に決めているわけではありません。
- 医療行為の価格(点数)は国が全国一律で決定
- 病院は決められた点数で医療を提供するしかない
- 値上げは不可能
この制度を管轄しているのが 厚生労働省、
実際の点数を議論・決定するのが 中央社会保険医療協議会(中医協) です。
つまり病院は、
「公定価格で経営する特殊な産業」
だという前提があります。
2024年改定が病院経営に与えた「直撃点」
① 医療収益は伸びず、コストは急上昇
診療報酬がほとんど伸びなかった一方で、
✔ 人件費(看護師・技師・スタッフ)
✔ 医療資材の価格
✔ 光熱費
✔ ICT・電子カルテなどの更新費
は 大きく増加しています。
医療機関は料金を自由に上げられないので、
収入は伸びず、支出だけ増える
という典型的な赤字モデルに陥りました。
② 多くの病院が赤字に転落
厚生労働省の調査では、2024年度までの病院経営は複数の病院で赤字が増加する傾向が出ています。
ある統計では、赤字病院の割合が前年から大きく増加しました。
つまり、医療機関のほとんどが利益を出しにくい環境に置かれ、経営持続性そのものが危ぶまれています。
③ 医療機関の多くが課題増を実感
ある病院・クリニック経営者の調査では、
➡ 改定によって 6割以上が経営課題が増えた と回答。
➡ 最大の懸念は 人員配置基準見直しによる人件費増加 でした。
つまり、診療報酬の表面上の数字以上に、現場は『人を確保し続けるコストの重さ』に追われています。
④ 先行投資(DX・設備更新)が重荷に
2024年改定では、人材確保や医療DX(デジタル化)が求められましたが、
病院は 先に投資してから報酬を受け取る 必要があります。
このタイムラグが、赤字病院には大きな負担になりました。

結果として、
- 赤字を抱えたまま耐える
- 経営破綻・閉院
- 統合される
というケースが現実に増えています。
なぜ「病院が潰れる国」になりつつあるのか
医療現場では、こうした声が多く聞かれます
🔸 「看護師の賃金を上げたいが診療報酬では追いつかない」
🔸 「最新機器導入のコストが重い」
🔸 「赤字が続き、経営の先行きが不透明だ」
🔸 「人材確保がますます難しくなった」
ここまでを一言でまとめると、
病院は、値上げできないのに、インフレと人手不足を直撃されている
と言えます。
2024年診療報酬改定は
「医療を守るための改定」ではありましたが、
病院経営を守るには力不足だった
というのが現場の実感です。
今後、病院経営はどうなる?
- 病院の統合・再編はさらに加速
- 小規模・単独病院は厳しい
- 「全部そろった地域医療」は維持困難に
患者側も
「近くの病院があるのが当たり前」ではなくなる時代
に入りつつあります。
まとめ
- 2024年改定はプラス改定でも病院経営は悪化
- 人件費・物価高に報酬が追いついていない
- 救急・急性期ほど赤字になりやすい
- 地方病院ほど打撃が大きい
2026年の診療報酬改定で、少しでも医療機関が救済されるといいのですね~
参考文献
読売新聞:国公立含む一般病院、24年度は7・3%の赤字…物価高や人件費高騰が影響


コメントを残す