最近、日本各地で再び話題になっている「麻疹(はしか)」
「昔の子どもの病気でしょ?」
「ワクチンがあるから大丈夫では?」
そう思う人も多いかもしれません。
しかし麻疹は、医学の世界では今でも“非常に危険な感染症”とされています。
それは、類を見ない感染力の強さに由縁します。
免疫を持たない人が感染者と同じ空間にいると、ほぼ感染すると言われています。
今回は、
- 麻疹とはどんな病気なのか
- なぜここまで恐れられているのか
- ワクチンがどれほど重要なのか
- 日本人が昔どう麻疹と戦ってきたのか
を、歴史も交えながらわかりやすく解説します。
麻疹(はしか)とは?
麻疹は「麻疹ウイルス」によって起こる感染症です。
主な症状は、
- 高熱
- 咳
- 鼻水
- 目の充血
- 全身の発疹
など。
特徴的なのは、一度熱が下がりかけた後に再び高熱が出ることです。
この時期に全身へ赤い発疹が広がり、感染力も一番強くなります。
子どもの病気というイメージがありますが、大人が感染すると重症化しやすいことも知られています。
麻疹の本当の怖さ
① 感染力が「別格」
麻疹の感染力は極めて強力です。
1人の感染者が平均何人にうつすかを示す「基本再生産数(R0)」では、
- 季節性インフルエンザ:約1〜2
- 新型コロナ(初期型):約2〜3
- 水痘(水ぼうそう):約10
- 麻疹:約12〜18
と言われています。
このトップクラスの感染力の強さの要因といえるのが、麻疹は
「空気感染」
で感染する病気だということです。
また、麻疹は不顕性感染(症状がほとんど出ない感染) はかなり少ないと考えられています。

麻疹は感染する前に予防することが重要なのです。
② 肺炎や脳炎を起こすことがある
麻疹は「発疹が出て終わり」ではありません。
重症化すると、
- 肺炎
- 中耳炎
- 脳炎
などを引き起こします。
特に脳炎は後遺症を残すことがあり、命に関わる場合もあります。
さらに恐ろしいのが、数年〜10年以上経ってから発症することがある「亜急性硬化性全脳炎(SSPE)」です。
これは麻疹ウイルスが脳内に潜伏し、長い年月を経て脳を破壊していく極めて重い病気です。
「子どもの頃に治ったはずの麻疹」が、何年も後に人生を変えてしまうことがあるのです。
③ 免疫の記憶を壊してしまう
最近の研究では、麻疹は感染後に「免疫の記憶」を弱めることがわかってきました。
つまり麻疹にかかると、これまで体が覚えていた他の病気への抵抗力まで低下しやすくなるのです。
そのため、麻疹回復後に別の感染症へかかりやすくなることがあります。
昔の日本人はどう麻疹と戦った?
江戸時代には麻疹の大流行が何度も起き、多くの子どもたちが命を落としました。
現代のようなワクチンも抗ウイルス薬もない中で、「経験」と「生活の知恵」を使って戦っていました。
① とにかく隔離した
麻疹は「うつる病気」だと経験的に知られていました。
そのため:
- 患者を別室にする
- 人混みを避ける
- 流行地域への移動を控える
など、今でいう感染対策に近いことも行われていました。
当時はウイルスの概念はありませんでしたが、
「近づくとうつる!」
ということは多くの人が理解していました。
② 食事療法に頼った
江戸時代には「はしかに良い食べ物」が広く信じられていました。
例えば:
- 粥
- 大根
- 豆腐
- 白身魚
など、消化の良いものが勧められました。
逆に:
- 油っこい物
- 酒
- 刺激物
は避けるべきとされました。
実際、高熱時に胃腸へ負担をかけないという意味では、ある程度理にかなっていたといえます。
③ 神頼み・おまじない
当時は医学だけで病気を説明できなかったため、
- 神社への祈願
- 魔除け
- お札
- 呪符
も盛んでした。
はしか絵では、麻疹が鬼や妖怪として描かれることもあります。
つまり病気を「見える敵」として表現し、恐怖を理解しようとしていたのです。
④ 「はしか絵」で情報共有した
江戸時代には、
- 流行状況
- 食事法
- 民間療法
を描いた「はしか絵」が大量に出回りました。
これは現代でいう:
- SNS
- 感染症ポスター
- 健康情報サイト
のような役割を果たしていました。
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当時の人々も、
「どうすれば助かる?」
「何が危険?」
という情報を必死に求めていたのです。
⑤ 一度かかると“乗り越えた”と考えられた
麻疹は一度感染すると強い免疫が残るため、
「麻疹を越えた子どもは丈夫になる」
と考えられていました。
その一方で、実際には多くの子どもが命を落としており、親たちにとっては非常に恐ろしい病気でした。
現代との共通点
興味深いのは、感染症流行時の人間の行動は現代とかなり似ていることです。
- 情報を求める
- 流言が広がる
- 民間療法が流行る
- 不安が社会に広がる
これは
COVID-19
流行時にも見られました。
つまり、時代が変わっても「感染症への人間の反応」はあまり変わっていないとも言えます。
麻疹ワクチンが世界を変えた
麻疹による死亡者数は、ワクチンの普及によって劇的に減少しました。
麻疹ワクチンは非常に優秀で、2回接種によって高い予防効果が期待できます。
現在の日本では、
- 1歳
- 小学校入学前
の計2回接種が推奨されています。
麻疹は感染力が極めて強いため、社会全体で流行を防ぐには高いワクチン接種率が必要です。
つまりワクチンは、「自分を守る」だけでなく、
- 乳児
- 妊婦
- 病気で免疫が弱い人
を守る意味も持っています。
「もう麻疹は昔の病気」ではない
2015年 日本は「麻疹排除状態」と認定されています。
これは「国内で持続的流行していない」という意味です。海
しかし、海外との往来が増えた現代では、海外で流行している麻疹が国内へ持ち込まれることがあります。
麻疹は感染力が非常に強いため、一人の感染から集団感染につながることも珍しくありません。
特に、
- ワクチン未接種
- 接種歴が不明
- 1回しか打っていない世代
では注意が必要です。
まとめ
麻疹は、
- 感染力が極めて強い
- 肺炎や脳炎を起こす
- 後遺症を残すことがある
- 時に命を奪う
非常に危険な感染症です。
歴史を振り返ると、人類は長い間この病気に苦しめられてきました。
だからこそ、ワクチンの存在は医学の大きな進歩と言えます。
現在、麻疹が近年になかった大流行となっています。
現状を把握して正しく対策をしていきたいですね!
参考文献
厚生労働省:「麻しん」
厚生労働省:「IDESコラム vol. 50「歴史から学ぶワクチンの重要性」
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※本記事は公的医療情報・ガイドラインを参考に作成しています


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